旅館に立ち寄って、
まあるいアルミの物体を私の掌に渡してくれた。
「なに?」
と聞けば、
「おにぎりだよ」と一言。そしてさっとお帰りになった。
さて、私もおうちに帰って、
一息ついて、そのアルミのおにぎりをいただこうと開けてみたら、
上品に握られたかわいい焼おにぎりが二個。
握った人のやさしさ、焼いてお醤油を垂らしてという作業の手間を考えながら
一口頬張ったら涙がこぼれた。
ここのところ、よくないことがまわりに起こり、
ひどく落ち込んでいた時だったので、
優しさのこもった焼おにぎりのおかげで、
私もこれにありつけるということは、まだまだ運があるかな?
なんて思った次第。
掌に収まってしまうほどの小さい小さい形の焼おにぎりふたつ。
同じに生きるんだったら、この形のように上品に、そして優しさが溢れ出る人に
なりたいなぁ、としみじみ思った晩でした。